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┃ ┗┓「勤務先から解雇通知 ストレス障害の元裁判員女性」
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ニュースの内容は、以下をご確認ください。
http://www.minpo.jp/news/detail/201306229167
簡単にまとめると
・裁判員裁判を務めたことで急性ストレス障害となり、会社を休職していた。
・医師より許可が出たので、職場復帰を伝えたが解雇された。
・労働基準監督署に解雇の取り消しを求めた。
このニュース・報道の問題点は、
●「解雇」と「雇止め」との違い…
●労働基準監督署の「解雇を取り消し」する権限…
●休職と医師の関係…
●「解雇」と「雇止め」との違い…
「雇止め」とは労働契約の終了であり、「解雇」とは違います。
記事によると、『書面には「病状を考慮し、7月31日の契約満期で、契約終了
とさせて頂きたい」「お体を万全にして頂き、確認できた時点で再契約したい」』
とあり、これを見る限り「解雇」ではありません。
この記事を見た人は同じようなケースがあった場合に、「解雇」と思い行動する
かもしれません。「解雇」ではないということがその後にわかったとしても、振り
上げた拳はなかなか下ろすことはできません。
「始業時間前の掃除は労働時間!」「昼食時の電話番は労働時間!」と本来
問題になっていなかった未払い賃金を請求する…
\よくある話です。
↓ケースによっては「雇止め」が無効になることがありますので、ご注意ください。
雇止めの法理(労働契約法19条)
●労働基準監督署の「解雇の取り消し」する権限…
労働基準監督署には「解雇の取り消し」をする権限はありません。
もちろん、「解雇」が不当かどうかも判断することはできません。
民事の問題は、司法の場で判断されることになります。通常は、労働基準
監督署や労働局は、民事の労働問題について、労働局の「あっせん」を紹介
することが多いです。
なお、「あっせん」の参加は任意であり、強制力はありません。
●休職と医師の関係…
記事によると「医師の判断で休職していた」「医師から職場復帰の許可が出た」
とあります。そもそも休職制度を設けるかは会社の自由であり、設けている
場合でも「休職を命じる」ことも「職場復帰を認める」ことも会社の判断、権限になります。
トラブルを予防する意味でも、就業規則で詳細を明らかにしておくことは大切です。
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今回は、「勤務先から解雇通知 ストレス障害の元裁判員女性」をとり上げました。
記事を書いた人は、女性の主張をそのまま取り上げ、「解雇」「労働基準監督署に解
雇の取り消しを申し立てた」としています。
この記事(特に前半)を見た人はこの行動を真似するかもしれません。記者の人は、
主張そのままを掲載するのではなく、事前に関係各所に確認、精査してもらいたい
ものです。
企業として休職対策は必須となります。雇止めについても労働契約法の改正に伴い、
今まで以上に注意が必要になります。
今一度、休職制度、雇止めについての自社の対応を点検し、必要に応じ具体的な
対策を行ってください。その際、お困りのことがございましたら、当事務所までお気軽
にご相談ください。
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